「脇のニオイが気になるので、わきげを自己処理している」という方もおられるかもしれません。しかし、わきげは処理の仕方を間違えると、わきがの臭いがさらに強烈になることもあります。
今回は、意外と知られていないわきげとわきがの関係について解説します。また、ワキガの方におすすめの自己処理方法や永久脱毛方法も紹介します。永久脱毛効果が得られるわきが治療についても触れているので、わきげ・わきがで悩んでいる方は、ぜひご一読ください。
わきがの原因「アポクリン汗腺」とわきげの関係
アポクリン汗腺は必ず毛穴につながっているので、わきげなどの体毛と密接な関係があります。
アポクリン汗腺はわきげの根元にある
汗腺には「アポクリン汗腺」と「エクリン汗腺」の2種類があります。わきがのニオイの元になる汗は、アポクリン汗腺から分泌されます。わきの下にわきげがたくさん生えれば、それだけアポクリン汗腺も多く密集することになります。その他にも、アポクリン汗腺は乳輪や耳穴、陰部などにもあります。
上述したように、アポクリン汗腺は毛穴とつながっているので、ニオイの元になる汗は、わきげなど体毛が密集したところから分泌されることになります。
わきげが多い人はわきがの可能性が高い
わきげの多い人はアポクリン汗腺も多くなり、ニオイの元となる汗の分泌量も多くなります。そのため、わきげの多い人はわきがになる可能性が高いと言われています。
しかし、アポクリン汗腺の性質は遺伝することもあるので、毛量が多くてもわきがではない人もいれば、毛量は少ないのにわきが体質の人もいます。
毛量の多い人はわきが体質でなくても、適切なわきげケアを心がけたほうがいいでしょう。わきげが長いと雑菌が繁殖しやすく、汗のニオイも強くなりがちです。
わきげを抜いてもわきがは治りません
わきがでお悩みの方の中には、「わきげを抜いてしまえばわきがが治るのでは?」とお考えの方もいるのではないでしょうか。
しかし、わきげを根元から抜いても、わきがは完治しません。たとえ永久脱毛をしても、アポクリン汗腺も毛穴もそのまま残るので、ニオイの元になる汗は分泌されるからです。
ただし、わきげの量を減らしたり、長さを短くしたりすると、ニオイを軽くする効果は期待できます。
わきがのニオイを軽くする正しいわきげ処理方法
ここでは、わきがのニオイを軽くするわきげの処理方法を紹介します。
わきげを無理やり抜くのはNG
わきげを毛抜きなどで無理やり抜くのは、できるだけ避けてください。無理やり引き抜くと、毛の根元にあるアポクリン汗腺が刺激されて、働きが活発になってしまう可能性があります。
また、毛穴にダメージが生じて、炎症を起こしたり化膿したりすることもあります。わきの下の皮膚が荒れていると、制汗剤やデオドラント剤を塗布したときに痛みなどの刺激を感じやすくなり、適切なケアが難しくなります。
毛を抜いたあとの毛穴は黒ずんだり、ぷつぷつと盛り上がったりして目立ちやすくなることもあるので、見た目にも影響してきます。
以上のような理由から、わきがの有無に関わらず、わきげを毛抜きなどで無理やり抜くような処理はおすすめできません。
自己処理でおすすめなのはカミソリや電気シェーバー
自分でわきげを処理するときは、毛穴を刺激しにくいカミソリや電気シェーバーがおすすめです。電気シェーバーは、わきのムダ毛処理に対応したタイプを選びましょう。
カミソリを使うときは、乳液や専用のシェービングクリームを使って、肌をキズつけないようにしてください。石けんやボディーソープは必要な皮脂まで落としてしまうので、肌を乾燥させる原因になります。除毛用に使うのは避けたほうがいいでしょう。
電気シェーバーは、水洗いできる防水仕様がおすすめです。清潔な状態を維持することができて、入浴時にも使用できるのでとても便利です。
針脱毛でわきがのニオイが弱くなることも
永久脱毛を希望する場合は、絶縁針を使う針脱毛がおすすめです。
針脱毛は、電流や高周波を流せる針を使った脱毛法です。先端が丸く極細の針を毛穴(毛根)に挿入したら、微弱な電流や高周波を流して毛根にダメージを与えます。すると、毛をつくる毛乳頭という細胞が破壊されて、毛が生えてこなくなります。わきがの症状が軽い人は、針脱毛をするとニオイがあまり気にならなくなることもあります。
気をつけなければならないのが、アポクリン汗腺にダメージを与えるわけではないので、ニオイをゼロにするのが難しいことです。また、レーザー脱毛や光脱毛を施しても、針脱毛のようなニオイの軽減効果は期待できません。
絶縁針を使った脱毛法は医療行為にあたるので、施術は医師か看護師しかおこなうことができません。
わきがとわきげの悩みを解消する美容整形の施術
「わきがのニオイも、わきげの悩みも一度に解決したい!」と言う方には、美容整形などでの受診をおすすめします。
ここでは、わきげの永久脱毛効果が期待できるわきが治療を2つ紹介します。
専用のシェーバーでアポクリン汗腺を取り除くイナバ式
「イナバ式皮下組織削除法」は、専用のシェーバーで汗腺を取り除く治療方法です。わきの下のシワにそって目立たないように皮膚を切開したら、器具を挿入してアポクリン汗腺、エクリン汗腺がある「真皮層」や「皮下組織」を薄く均一に削り取ります。
イナバ式は、汗腺と一緒に毛根も取り除くので、永久脱毛効果も得ることができます。エクリン汗腺も同時に削り取るので、多汗症の施術にも効果が期待できます。
しかし、イナバ式は皮膚移植に近い技術が求められる施術なので、手術中の出血が多くなりやすいなどの他、皮膚欠損や皮膚拘縮、色素沈着などの合併症を起こすリスクもあります。腕の良い医師の元で、十分なカウンセリングを経て施術を受けることをおすすめします。
また手術後、抜糸するまでの1週間程度は、重いものを持ったり飲酒したりすることはできません。入浴も制限されます。
医師が目視下でアポクリン汗腺を取り除く剪除法(せんじょほう)
剪除法(せんじょほう)というのは、わき毛の生える部分の皮膚を皮下組織から剥離してひっくり返し、アポクリン汗腺を取り除いていく治療方法です。アポクリン汗腺は、医師が目視で確認しながら医療用のはさみでていねいに摘み取ります。
アポクリン汗腺と一緒に毛根も取り除くので、剪除法でも永久脱毛効果を得ることができます。エクリン汗腺の除去が目的ではないので、多汗症の症状は「多少軽くなる」という程度にとどまります。
なお、手術後、3ヶ月くらいは傷跡が赤くなったり、盛り上がったりしますが、これを「肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)」と言います。ケロイド体質の方は肥厚性瘢痕がケロイドになることもあります。
イナバ法と同じように、抜糸をするまでの1週間程度は生活上の制限が生じます。
毛穴を刺激しないわきげケアで、わきがのニオイを軽くしましょう
わきがの原因であるアポクリン汗腺は、わきげの根元にあります。そのため、わきげを無理に引き抜くとアポクリン汗腺が刺激され、ニオイが強くなる可能性があります。わきげを自己処理するときはカミソリや電気シェーバーなどを利用して、アポクリン汗腺を刺激しないようにしましょう。
わきげとわきがを同時にケアしたい場合は、美容整形でのわきが治療がおすすめです。当クリニックでは、わきがに対するさまざまな治療方法をご用意しています。イナバ法に改良を加えた手術も行っていますので、手術後のリスクをできるだけおさえたい方、他院で手術を受けたもののわきがが再発して悩んでいる方は、ぜひご相談ください。